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車の個人売買は大金での取引となるので、税金がどれくらいかかるか気になる人も多いでしょう。日本では、物販において税金が発生するのが通常ですが、車の個人売買でも例外ではありません。また、状況に応じて確定申告が必要になり、放置すると加算税などペナルティが発生するケースもあります。本記事では、車の個人売買で発生する可能性のある税金及び支払いが必要なケースや、トラブルを招きやすい税金について紹介します。
自動車の個人売買をする際に、税金がかかるかどうか迷うことはありませんか。実は所得税や消費税が発生するケースは、はっきりと決まっています。売主と買主別に支払いが必要になるケースを紹介していきましょう。
本項では、売主側が所得税や消費税を支払うケースについて紹介します。
日本では、物の売買において利益が出た場合、所得税の対象になります。しかし、家具や衣服などの日常生活で必須の動産を譲渡した場合は、非課税扱いとなり所得税は発生しません。同様に、通勤や通学、日用品の買物時など、日常生活で使用している車であれば、非課税となります。一方、ドライブや旅行などレジャーに行くためだけに使用している車や高級車などは、日常生活で必須のものではないので、売却して利益が出た場合に所得税の対象になるので注意が必要です。
混同しがちですが、レジャー目的で使用していても、同時に通勤目的など日常で使用している車の場合は、非課税対象です。ただし、車の売却には50万円の控除があります。すなわち、50万円を超える利益がない場合は、レジャー用の車であっても、非課税扱いとなります。一般的に中古車の売却で50万円を超える利益が出るのはレアケースといえるので、個人売買においてはほとんど心配する必要がないでしょう。
個人事業主や法人が業務上で使用していた車を個人売買するときは、事業者による事業目的の取引と見なされるため、所得税と消費税の両方の課税対象となります。しかし、事業目的の場合も所得税は50万円の控除が認められるため、50万円を超える利益が出なければ、事業で使用されていた車といえども、非課税対象です。限定生産の高級外車など高価値な車はまれですから、一般的な中古車であれば購入価格を売却価格が上回ることも珍しく、所得税のかからない場合がほとんどでしょう。一方で、消費税の場合は、車の用途や高級車であるかどうかにかかわらず、納税義務が発生するので注意しましょう。
自動車の個人売買においては、所得税と消費税のいずれも、売主側に支払い義務が発生するものであり、買主側は支払いをする必要はありません。そのかわり、買主側が支払うものに自動車取得税廃止後の「環境性能割」というエコカーを推進する意味をもった税金があります。環境性能割の内容は、車の燃費性能が良ければ良いほど、課税額が安くなるというものです。ただし、環境性能割は、売買において車の引き渡し後、運輸支局で名義変更手続きをするときに同時に支払うものなので、売買取引時には支払う必要はありません。さらに、車の取得価額が50万円以下のときは、環境性能割は非課税となります。取得価額とは、車の現在の価値に相当する金額を算出したもののことです。
そのほかにも、車の個人売買が親族の間で行われた場合に、贈与税がかかるケースがあります。贈与税とは家族や親族の間で財産譲渡が行われる際に発生する税金を指します。しかし、贈与税には110万円の控除が認められるため、取得価額が110万円に満たなければ、贈与税は発生しません。そして、贈与税の課税対象額は、売却価格から110万円を差し引いたものになります。また、贈与税が発生しないケースとして、名義変更をしない場合が挙げられますが、事故などが起きた場合にトラブルに発展するケースもあるので注意しましょう。
自動車の個人売買においては、所得税や消費税以外にも、車両自体にかかる税金や保険料があります。税金や保険料を売主側と買主側のどちらが負担するかでトラブルになるケースも非常に多いです。よって、転ばぬ先の杖と思って、取引前にしっかり内容を把握するよう注意しましょう。
個人売買でトラブルになりやすい税金として、車検にも大きく関わっている自動車税(軽自動車の場合は、軽自動車税)が挙げられます。自動車税とは、自動車の排気量に応じて課税される税金のことです。年度ごとに4月1日時点での車の所有者に対して、毎年必ず請求されます。自動車税は通常、1年分を一括で支払います。そのため、年度途中で個人売買の取引があった場合に、売却後の自動車税分を売主側と買主側のどちらで負担するのかが大きなトラブルになりやすいでしょう。売却後に自動車税分に相当する金額を売却価格に含めたり、税相当額を買主側が別途支払ったり、売却後の自動車税分をどのようにするか、お互いに納得したかたちで取り決める必要があります。
たとえば、7月末に売却するときは、8月から翌3月分を別途支払うといったかたちです。また、売主が住所変更していた場合など、支払通知書が登録の住所に届かず未納となっている場合があります。そのため、売主が自動車税未納のまま車を売却するというトラブルが発生することもあります。よって、買主側は、事前に納税証明書を確認するなどして、万全の対策を取りましょう。また、自動車売却後は、買主に確実に車両の名義変更をしてもらうことも大切です。なぜなら、名義変更せずに放置したままだと、翌年度の自動車税納付書が売主のもとに届くという事態になりかねないからです。トラブルは未然に防ぐことが大切となります。
ほかにも、車の個人売買でトラブルになりやすい税金や保険料に、自動車重量税や自賠責保険料があります。自動車重量税とは、車両の重量に応じて、毎年課税される税金のことです。自家用乗用車は車両重量500キログラムごとに税額が増加します。軽自動車の場合は車両の重量に関係なく税額は変化しません。自動車重量税は、車検の際に車検有効期間までの分をまとめて支払うことになります。
一方、自賠責保険はすべての車両に対して義務付けられた保険で、自動車の人身事故において被害者に賠償されるものです。こちらも自動車税と同様に車検の際に次回更新時までの分を一括で支払うかたちを取ることが多いでしょう。自動車重量税と自賠責保険料も自動車税のように売却後の金額分負担の件でトラブルになりやすいので注意が必要です。一般的にはどちらも車の売却額に含めることが多いでしょう。また、車両と同様に買主は自賠責保険の名義変更も必要となります。
そして、自賠責保険の名義変更が行われていなかった場合も、トラブルの原因になります。自賠責保険は、車両そのものにかける保険であるため、名義変更が行われていなかったとしても、実際は事故の被害者に賠償金が支払われます。しかし、保険会社からの契約期間終了や契約事項の改定など重要なお知らせが車の所有者に届かない弊害があります。その結果、自賠責保険の期限が切れたことに気づかず、自賠責保険をかけていない状態で車を運転することにもつながりかねません。自賠責保険未加入による車の運転には法的にペナルティが科せられます。売買契約時には、しっかりと確認しましょう。
車を購入する際は、廃車時に必要なリサイクル料金を前もって支払います。リサイクル料金を支払ったことの証明書がリサイクル券と呼ばれるものです。廃車せずに車を売却する場合は、リサイクル料金は必要ないので、払い戻しされることとなります。一般的には、買主側が車の購入代金とは別にリサイクル券に記載された料金を売主に支払います。
しかし、なかには支払いを拒む買主もいます。トラブルのもとになるため、売買時には前もって、リサイクル料金について明確にしておきましょう。また、リサイクル券を紛失していたとしても安心してください。リサイクル料金は、自動車リサイクルシステムの公式サイトにて車検証の情報を入力することによって確認が可能です。リサイクル料金を支払いしている事実がある限り、売却できないことはないと覚えておきましょう。
自動車の個人売買でつい見落としがちなのが、確定申告の存在です。所得税や消費税などの税金が発生した場合は、確定申告が必要になります。
確定申告とは、1年間で得たすべての所得金額を確定させ、納めるべき税を正確に計算し、税の徴収において過不足がないか精算するために行われる手続きを指します。そして、1月1日から12月31日までに得た所得について、翌年2月16日から3月15日までに申告手続きを済ませるのが通常です。車の個人売買で所得税や消費税が発生した場合は、注意しましょう。というのも、期間内に未申告のままでいると、加算税や延滞税などのペナルティが科せられる場合があるからです。法に定められるとおり、対象となった場合に必ず確定申告をする必要があります。
確定申告の手続き方法は、以下のとおりです。まず、申告書を税務署の窓口や郵送で入手します。忙しい人は、国税庁の公式サイトからダウンロードするのも良いでしょう。申告書に必要事項を記入し、ほかの提出書類もあわせてそろえ、税務署窓口への持参や郵送にて手続きを行います。国税庁の公式サイトには、詳しい申告方法の記述や確定申告書の作成フォームがあり、容易に申請書類を作成し印刷できるので、初めての人も安心して手続きすることができるでしょう。ただし、確定申告の時期になると毎年税務署が非常に混雑するので、書類の作成から提出までを一括でオンライン上にて完結できる「e-TAX」というサービスを利用するのもおすすめの方法です。
このように、車の個人売買において税金が発生するのはレアケースといえますが、加算税がかけられる場合もあるため、注意したいところです。所得税だけではなく、税金関連で注意したいポイントはたくさんあります。また、状況に応じて確定申告をしっかり行うことも大切です。本記事の内容をしっかり把握して、スムーズな車の個人売買を進めていきましょう。